● concept & policy ●


ここでは“木の工房KAKU”が「いろんな木」を使って「いろんなモノ」をつくるときの考え方を少しお話させていただきます。
理屈っぽいお話もございますが、よろしければ少しの時間おつきあいください。

■デザインについて■

自然素材である「木」のありのままを……。
その「木」の持つイメージを崩さずにどこまで「シンプル」に、そして「モノ(人の使う道具)」としての使い勝手を無視せずに……。(これが、結構むずかしい!!)

“木の工房KAKU”のモノづくりは
<素材である「木」と、モノをつくる「私」、そしてそれらを使い続ける「あなた」とのコラボレーション>
でありたいと考え、それをカタチにできるよう日々研鑽し続けたいと思います。

■モノづくりについて■

構造はホゾや組手と呼ばれる、昔から伝わる技法を場所や強度により様々に使い分けて組み立てます。
逆にいえば、必要以上に凝ったり見せる為の構造というものにもいたしておりません。
では、だからといって手を抜いている訳でもありません。
“木の工房KAKU”のアイテムは工芸品や芸術品等のような作品ではなく、日常生活の中で使っていただいて意味がある「モノ」であると思っていますので、実用に耐えうる最大公約数的な、そこにあって意味のある仕口を用いて制作しています。

また逆に、昨今は、様々な価値感の中、様々な価格帯の商品が存在し、それにあわせた様々な技術、技法が用いられていますが、コストダウンの為に省略されたお仕事を余儀なくされたものが、普通、標準的と捉えられがちに思われますので、一見凝ったつくりのように見えてしまいますが、ひと世代前のモノを見れば大概このような手順を踏んで、適当な手間をかけられて制作されていたものです。

そういうモノは世代を越えた現在でもメンテナンスをされながら大切に愛着を持って使い続けられています。
“木の工房KAKU”から、皆さまのお手元に渡ったモノ達も過去のもの同様、世代を越えて使い続けていただきたいと強く願っております。
その思いでそれらに習った構造を基本に取り入れています。
その為、単に値段だけを見てしまいますと、一般に販売されている海外などで大量生産されたものと比較しますと、どうしても値段の設定が高くなってしまいます。
それでも、ただ単に値段が高ければいいとは思っておりませんし、日常でお使いいただくモノである以上、手を触れるのも躊躇してしまうような不要に高くなってしまうことは望みません。
その上であえて申し上げさせきますと、モノというものは、値段に見合った価値というものが存在すると思っています。
“木の工房KAKU”は、それに見合った価値のあるものをご提供させていただけると、多少なり自負しています。

新しい技術についていえば、現在のように人件費があらゆるものより高くなりつつある社会においては、ある程度の効率化を求められるのも現実です。
何でもかんでも昔の通り。なんてことは、ある意味非現実的だと思います。
確かに伝統工芸や美術工芸的なものにおいては、それは重要なことだと思いますが、日常で使うには考えられない程の制作コストがかかることになってしまいます。
そういった意味で、アイテムの完成度や品や質を落とさないのであれば、新しい技術を取り入れることにも柔軟であることも必要なことだと思っています。

時に場合によって、木ネジを使用する事もあります(極限られた部所/座板の止め、甲板の駒止め等)が、その場合は錆等の劣化に強いステンレス製のものを用います。
またその場合には、木栓等で目隠ししたりしませんので、違和感を感じられる方もいらっしゃるかも知れません。
木ネジ等は永年の使用と木の収縮により弛んでしまう事も多々あります。それはその性質上ある意味仕方がないことです。しかしそれを木栓等で隠してしまうと、締め直しするときに簡単にアプローチできなくなってしまいます。そのため、どこにどんな金具や金物を使っているのか、誰にでもわかるようににしておきたいのです。
また、見せる以上はデザイン的にも機能的にも美しい金物を使うように心掛けています。

接着剤は、シックハウスの原因のひとつとされるホルムアルデヒト等を含まないコニシ社の酢酸ビニルエマルション系 CH18、αオレフィン系 SH20、米国製タイトボンド 。 を主に使用しています。

何十年と長い年月お使いになると、接着剤の劣化等で接合部分が緩くなることや、時に損傷により修理が必要となることもあるかと思います。
そんな場合もこのように基本的な木工の工作でつくってあれば、私自身がこの世に存在しない未来でも、基本的な木工の技術さえ伝承されていれば、それを受け継いだ誰かが修理してくださり、また長く使い続けていただけるものだと思っています。


●例えば、このちいさな子供の椅子ですが、


●これだけの部品で構成されています。


●組立は当たり前ですが、ホゾで組んでいます。


●ホゾが重なる部分はホゾ同士を組手にして強度をもたせています。

■塗装について■

ラッカーやウレタンなどの合成樹脂を用いた塗装は、表面に塗膜を張ることで、汚れや水の弾きを良くするというメリットがある反面、その強固な塗膜がある為、木とヒトとの直接的なふれあいを邪魔するものだと思います。
塗膜がはがれた際のメンテナンスもお客さまご自身では難しく、個人でお手入れをしながら何十年と長く使っていくモノにはあまりお薦めできない塗装方法だと思っています。
それじゃあ塗装はしなくていいの?と思われるかもしれませんが、木が樹であった時の本来持つ色は、濡れ色といって、木に水分が含まれている時のしっとりとした色なのです。
それぞれの木が持つ最も美しい色を再現するため、それと、家具という日用品であるために求められる最低限の汚れ止め、水弾き、そのための塗装をいたします。

塗装にはドイツ「クライデツァイト社」のナチュラル塗料を使っています。「クライデツァイト社」のナチュラル塗料は植物油を主成分としており、木地に浸透させるもので、塗膜をつくるタイプではありません。
それ故に、ラッカーやウレタン程の表面保護効果はさすがに望めません。
ですが、逆に汚れや傷も含めて、愛着を持ってモノを使うという感性をお持ちのかたでいらっしゃれば、それは左程、気になさる程のことではないと思います。
普段使いでしたら、ワックスの効果でも十分に水弾きいたしますし、そもそも木に触れる感覚ということを大事にされるのであれば、そのデメリットは十分に飲み込んでいただけるものと思います。
また、お客さまご自身でのメンテナンスも簡単なので、安心してお使いいただけるものとして当工房では採用しています。

「クライデツァイト社」の日本代理店プラネットジャパンのサイトはこちら>>
メンテナンスには、ラッペンワックスをお薦めいたします。

■道具について■

昔ながらの手道具も木工機械も共に道具である事にかわりがないと思っています。
手道具を使った基本的な工作ができないと、いくら機械があってもきちんとしたモノづくりは難しいと思います。
道具はあくまで手の延長、思考を具現化するためのものと考え、はじめに道具ありき的なことにはならないように自戒をしています。

■木について■

木にこだわりますが、無垢である事に執拗(しつよう)にこだわる事は避けたいと思っています。
今、日本国内のみならず、世界中ではかなりの木が経済性や人間のエゴによって無駄になっています。
節、割れ、傷などの欠点は、樹が何十年、何百年と自然の中で生抜いてきた証のようなものです。あって当たり前だと考え、それをどのように補い無駄なく無理なく使っていくか、ということも木を使う大切な技術のひとつだと思います。

突き板のように木を薄っぺらな紙のようにして、見た目のきれいさを愛でるだけではなく、木そのものの在りよう、質感……もっと欲を言えばその樹が生きていた自然な姿までもを、五感を通して感じ取っていただける。そのような使い方をしたいと思っています。

木を使うという行為は、樹というひとつの命を伐り倒す事により成り立っている。という基本的な事に立返ると、身の回りにある木製品に対する見方を我々は少し省みる必要があると感じます。

現在、“木の工房KAKU”で使用する広葉樹材は一種の枯渇資源で貴重なものとなりつつあります。そういった事も踏まえ、ありとあらゆるところを無垢でつくってしまう、むやみやたらという事は、あえて避けたいと思っています。
また、伐採元がロシアで不法かつ、自然への影響を考えずに伐採されたものであったりと不明瞭な家具用材を使うよりは、森林育営と伐採の管理システムのデータが公表されている北米産の広葉樹をお薦めさせていただきたいと思っています。
また、引出しの底板、キャビネット等の裏板につきましては、特にご希望をいただかない限り基本的にシナ合板(5mm厚以上の共心合板)を使わせていただいております。
合板というものは、限られた木資源を合理的に使う木材利用の技術のひとつであると思います。
その場合も、合板という素材の性質上、経年での劣化も考慮にいれ、メンテナンス交換できる構造にしております。もちろん近年問題となっているシックハウスに対応した規格のものを採用しております。
その上で、もちろん、すべて無垢材を用いた仕様にさせていただくことも可能です。

アメリカ広葉樹輸出協会のサイトはこちら>>

■おわりに■

貴重なお時間、最後までお読みくださりありがとうございます。“木の工房KAKU”につきまして、少しはご興味をお持ちいただけましたでしょうか?

また、僭越な言い方かも知れませんが、“木の工房KAKU”のモノ達はすべての皆さまにそのスタイルを受け入れ、お使いいただけるものとは思いません。
共感いただけるあなたにお使いいただけること、それがなによりも、お互いにとりまして幸せなことだと思います。

比べてください、そしてあなたの選択が正しかったことを実感してください。


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