2004年11月14日
芦生の原生林
木の暮し研究会の山歩きイベントで京都府美山町の芦生の原生林へ。
今回のガイドも「芦生の森・美山から」の藤山さんにお願いした。
春にも予定していたが雷雨で中止になったので、芦生の森は1年半ぶりであるが、前2回とは違うコースを歩く。
前回の秋は、前日に早い降雪があって、それはそれで雪の紅葉という本当に稀な風景を見ることができたのであるが、初めてということと、雪道の歩きにくさで、あまりに余裕がなかったのだが、今回は、曇り空ではあれ普通に山歩きを楽しめる気候で、3回目で少しは余裕もできたのか、新しい発見にも出逢うことができた。
例えば、カツラの落ち葉はべっこう飴のような甘い香りがするので、甘い香りがするなと思って周りを見渡すと、カツラの木があったり、またセンという木は山ではハリギリと呼ばれるのだが、今回初めて見ることができた。
大きな樹ではなかったが、手のひらを広げたような大きな葉っぱで、ハリギリの由来である針もちゃんとあった。
またひとつ、材と樹を結びつけることができ、子供のような表現で恥ずかしいのだが、単純に、純粋に嬉しかった。
ちょっと世間知らずなことを吐露してしまうのだが、ひとつあまり喜ばしくない現実にも遭遇した。
コースの折り返しポイントにミズナラの巨木がある。
仕事柄、こういう身も蓋もない例えになってしまうが、いいテーブルになりそうな味のある木であったが、根本に虫食いの後に見かける木屑らしきものが一目で尋常でない量に積もっており、疑問に思って見ていると、藤山さんからそのことについて解説があった。
ナラ枯れといって、昨今、森林地域で問題になっていて、ここ芦生の森でもその被害が広がっているそうである。
(ここであまり深くは触れないが、ご興味があれば、是非ネットで検索されてみていただきたい。全国各地で被害が広がっているようである。)
枯れの直接の原因と仮説されているのは、カシノナガキクイムシという甲虫がその体内に幼虫の餌となる菌を保有しており、産卵の為に穿孔し、その際に菌も一緒に樹内に繁殖させ、その菌が通道組織を犯し、通水阻害を引き起こし枯れに至るということらしい。
ムシにとっていえば、子孫繁栄の為の自然がもたらしたシステムなので、自然のバランスということでいえば、産卵する為の木を全滅させてしまえば、自らの身を滅ぼすことにもなるので、今回のような極端な事象は、やはりどこかでバランスが崩れているのであろうと、あまりに安易であるかもしれないが、そう思わざるえない。
こういう現実に向かい、さて自分に何ができるのか?と考えてみると、自然の賜物である木を使いモノづくりをしている我が身を省みれば、やはり、そういうこともすべてひっくるめて制作するモノに表現することなのかもしれないし、そうなりたいと今更ながらあらためて思う。
山を歩いて思う、今日はそんなこと。
投稿者 KAKU : 2004年11月14日 23:59
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