2004年10月15日
包み蟻
10月も折り返し。
整理がつかないままではあるが、通常のサイクルに戻していく。
小抽き出し箱の続きにも取りかかり、その抽き出しの加工。
抽き出しの構造が、被せといって、前板が桟より全面にくるのタイプになり、今回は桟を隠す為に前板を上下に延ばしているので、前板と側板の仕口に包み蟻を用いる。
包み蟻も、機械加工の場合、従来だとダブテールマシンなる専用木工機械が必要であったところが、昨今は、輸入工具の普及でハンドルータとアメリカ製の治具を用いると、以外や簡単に加工できたりするようである。
そんなことで、包み蟻という仕口は、見た目的にはすごく技巧的なのであるが、裏を返せば、それほどの技術が必要でない仕口であったりする。
であるので、自分としては、あまり好んで用いないのであるが、適材適所で今回は他の最適解が見つからなかった故、あえてこの仕口を用いることにした。
もちろん、普段使わないので、専用機械はもとより、便利なアメリカンツールも持ち合わせていない。
となると、手持ちの機械と、手加工を組み合わせての加工となる。
雄の蟻形について言えば、昇降盤を傾斜させることで、ほぼ難なく加工できるのだが、雌の蟻形のほうは、粗取り以外ほとんど手加工になってしまう。
まったくの手加工ではないので、なりにきちんとは納まったが、たまのことなので予想外の手間にはなった。
手前味噌ではあるが、わかる人でないと機械加工と見分けがつかない…かもしれない。
この仕口について、誰に聞いたのかこんな話がある。
「機械だときれいにできすぎるので、手加工だとわかる程度に、少し下手なぐらいが丁度いい。」のだと。
納まってしまえば、そのプロセスがわからないのは、これに限ったことではないので、気持ちはわからないではない。
この仕口は、仕上がりが人目につくので、下手すぎてもみっともないし、特にそう思うかもしれない。
用の美であって、別に見せる為にこんなカタチをしている訳ではないのだが…、今日はそんなとこ。
投稿者 KAKU : 2004年10月15日 23:59
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